物づくりの小部屋

個人で活躍するクリエーターになりたい現役エンジニアの行動記録

【Fusion360】個人利用できる3D CADで一輪挿しを設計してみる

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こんにちは。alohaです。

 

3D CAD(3次元CAD)という物をご存知でしょうか。

 

3D CADとは、パソコン上で動くソフトウェアの一種で、主に物づくりの設計段階で使用される設計支援ツールです。

 

私がまだ学生の時は、一般家庭にパソコンが普及し始めた初期の頃なので、学校の設計製図の授業では方眼紙に定規とコンパス、シャープペンシルで部品の形状、寸法を書いていました。手書きで線を引いているので、間違えると消しゴムで線を消して書き直す必要があり、大変な手間をかけて図面を完成させていた思い出があります。

 

その後、パソコンの普及によって設計製図は手書きからコンピュータを使用したスタイルに移り変わり、そこで始めに使われていたのは2D CAD(2次元CAD)でした。製図のコンピュータ化によって、図面の修正が簡単に行える様になり、これだけで設計製図の時間は大幅に減ったと思いますが、それでも、部品の3次元形状を2次元図(正面、側面、上面から見た図)に変換する部分は人間が想像で行う必要があり、複雑な形状の部品では間違いが起こりやすい状況であったと思います。

 

近年ではパソコンの高性能化と3D CADの普及によって、部品の3次元形状をモニター上にCG表示して、確認しながら部品形状を決める事ができる様になり、3次元形状を2次元図に変換するのも自動でできる様になりました。

 

私は社会人になった時に仕事で3D CADを使い始めて、以来10年以上3D CADを使って機械設計の仕事をしています。

 

私の中で3D CADは会社で使う業務用ソフトという位置づけでしたが、最近では個人で使用できる3D CADソフトがあるんですね。

 

代表的な物としては、Autodesk社の『Fusion360』があります。

 

Fusion360』は、法人向けの本格的な3D CADソフトでありながら、個人利用に限り無料で使う事ができるため、趣味で物づくりをする人にとってはありがたいソフトです。

 

私が普段仕事で使っている3D CADはSolid Worksですが、『Fusion360』では以下の特徴があります。

  • 個人使用に限り無料で使用できる
  • 作成したファイルは、クラウド上に保存される
  • 無料使用の場合、同時に編集できるファイルの上限は10個

 

3Dプリンターも一般家庭に普及しはじめており、『Fusion360』+『3Dプリンター』で趣味の物づくりをしている人も多いのではないでしょうか。

 

今回はお試しとして、『Fusion360』を使って一輪挿しを設計してみます。その過程で3D CADの基本5機能を確認していきます。

  1. 3Dパーツモデルの作成
  2. シートメタルモデルの作成
  3. アセンブリモデルの作成(複数の3Dパーツを合体)
  4. レンダリングで仕上がり確認
  5. 平面図の作成

それでは、早速作業を開始しましょう。

 

<手書きでイメージ図を書く>

いきなりパソコンに向かって作業を開始しても良いのですが、出来上がりのイメージを手書きで紙に書き出しておいた方が良いです。

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<3Dパーツモデルの作成>

3D CADは、ソフトの違いによって多少操作感に違いはあるものの、3次元形状を作る過程はどれも同じです。スケッチで断面を書いて、断面の形を並行に押し出すか回転軸を中心に回すことで立体形状を作ります。

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立体形状を作成しただけだと角が立っていてカクカクした形状になるので、角に丸みを付けて滑らかにします。

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取っ手を付ける部分の凸を作成すれば一輪挿しの本体は完成です。

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断面の丸形状をフリーハンドで描いた曲線に沿って押し出し、取っ手のパーツモデルを作ります。

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<シートメタルモデルの作成>

シートメタルによる部品形状の作成も3D CADでは良く行われています。シートメタルは、板状の材料を折り紙の様に折り曲げて部品を作成する方法です。材料が板状なので作成できる形状が限られますが、安く部品を作る事ができるので物づくりの現場ではシートメタル部品が良く使われています。今回は一輪挿しを置く台をシートメタルで作成してみました。

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アセンブリ の作成>

各部品の3次元モデルができたら、それらを合体させて1つの3次元モデルを作成します。

 いい感じですね。

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レンダリングで仕上がり確認>

3D CADを使うことで部品形状は作成できましたが、実際に物を作った場合の雰囲気や質感は材料や作成方法によって異なります。『Fusion360』では作成した3Dモデルに材料を設定することで仕上がり具合をCGで確認する事ができます。例えば一輪挿しの材料にプラスチック(灰色)、台にアルミを設定すると下の絵の様になります。

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<平面図の作成>

作成した3Dモデルを3Dプリンタで印刷して物を作る場合には、基本的に平面図を作成する必要はありません。しかし、金属の塊を削って物を作る場合や、精密加工が必要な場合には3Dモデルから平面図を作成して、実際に物を作る際に必要な情報を追記する必要があります。作成した3Dモデルから正面図が自動的に描かれるので、側面図や断面図、寸法等を追加すれば平面図が完成します。

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<まとめ>

という訳で、無料で使用できる3D CADソフトの『Fusion360』を使用して一輪挿しを設計してみました。3D CADソフトの基本の5機能を確認してみましたが、個人が趣味の範囲で使用するには十分な能力があると思います。

 

さらに、『Fusion360』にはCAMの機能も付いており、ツールパスからNCデータを作成する事もできるとの事。いずれはCAM機能を使ってNCマシンを動かす事にもトライしてみたいですね。

 

無料で使える『Fusion360』で、自分オリジナルの物づくりにトライしてみてはいかがでしょうか。

 

それでは、また。